人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日本人のための経済原論


小室 直樹
Amazonランキング:82934位
Amazonおすすめ度:



政治経済歴史の本質が理解できる良書。
とても10年前に書かれたものであるとは思えない。
またそれは真理(問題)が変わっていないことの裏返しでもある。

「日本経済は封建制と資本主義と社会主義の混交経済である。」
「何も言っていないからこそ、社会主義は理想的社会に思えてくる。これが宗教心理学である。」
等々、なるほど膝を打つ文句も数多く散りばめられていた。

戦時中の膨大な赤字国債(累積された途方も無い潜在的貨幣購買力)と
消費財の落ち込んだ供給力とのギャップから生ずるインフレを
「欲しがりません勝つまでは」と無理に抑えていた背景など
戦後の預金封鎖、新円切りかえ、財産税の流れが体得できた効用も大きい。

加えて著者の流暢で快活な語り口はキレとウィットに富んでおり
戦前の優秀なエリートたらん姿勢をも現代に示している。
他の著作にも目を通してみたいものだ。

by yume-no-izumi | 2008-03-10 20:57 | キャンパスライフ